若手俳優発掘プロジェクト・舞台『転校生』開幕

撮影:阿部章仁

2019年8月17日(土)、紀伊國屋ホールにて、平田オリザ脚本の舞台『転校生』女子校版と男子校新版が開幕した。
本作品は、1994年青山演劇フェスティバルで初演されて以来、高校演劇のバイブル的戯曲。平田オリザ戯曲特有の「同時多発」会話で繰り広げられる、ある高校生たちの一日。他愛のない日々の会話の中に彼女たちの日常と社会への好奇心、あるいは大人達への不信感、将来への不安を垣間見る戯曲。
2015年、若き才能との出逢いを求め、「これから女優としての経験を積んでいきたいと思っている」18歳~27歳の女性を対象に応募資格が設けられ、1,474名から応募頂きオーディションを経て、21名の出演者が選出。「興行」として成立させるために、スターシステムで配役しがちな昨今。ハードルの高い企画だった。
そして、今回も応募総数2,128名の中から、演出の本広克行氏による書類選専攻で選ばれた185名に、オーディションアプリmystaで実施された予選を勝ち抜いた12名を加え、197名で行われた実技審査を経て、男子校版21名、女子校版21名の出演者が決定した。
21人の女優たち、そして21人の男優たち。彼らの才能の最初の目撃者となり。この夏、新たな才能との出逢いに期待したい。
公演は、2019年8月17日(土)から27日(火)まで。

演出:本広克行コメント

以前は演劇でも映画でも初日は嘔吐くくらいに緊張して気持ち悪くなっていましたが、最近は流石に慣れてきて、あんまりドキドキとかひやひやとかしなくなっているんですが、今回は俳優達の緊張感が伝わってきて、僕も新鮮な気持ちでいます。
今回、四年振りに再び若い子達と熱い夏を過ごしましたが、学校の先生というのはこんな気持ちなのかなぁと一ヶ月間つくづく感じながら演出を進めました。出来の良い子もいれば悪い子もいて、手のかかる子もいれば、すぐに出来てしまう子もいたり。でもこの子達が今後俳優として羽ばたいていってくれたらいいなと考えています。
この台本は非常に計算された精度の高い台本です。同時に会話が行なわれても聞こえてくる。すべてが緻密に考えられています。女子校版はノスタルジックを味わって頂ければ良いかなと思います。男子校版は実は自分にとって近未来SFとしてとらえています。約四半世紀前に書かれた台本ですが、「こんな解釈があったんだ!」と興奮しています。女子校版とはまた違ったエネルギーを感じて頂ければと思います。
また、全体的な演出のテーマとして、どこからが演劇なんだろうといつも思っていて、その境界線を探すということが今回のテーマです。開演前から俳優が徐々に役になっていくことも含めての演出をしています。

<女子校版 舞台写真>


撮影:阿部章仁

<男子校版 舞台写真>


撮影:阿部章仁


転校生

いつもと同じ朝。ある高校の教室。課題図書や近しい人の病気や出産の事が話題になっている。まもなく一時間目が始まる。そこへ、「朝起きたらこの学校の生徒になっていた」と言う転校生がやってくる。日々教室で繰り返される他愛のない会話とともに「生」と「死」が同時に語られていく。転校生を受け入れながら、身近で起きている出来事を通して、人間の存在の不確かさが浮かび上がる21名の群像劇。

脚本:
平田 オリザ

演出:
本広 克行

出演:
<女子校版>愛 わなび 天野 はな 上野 鈴華 小熊 綸 金井 美樹 川﨑 珠莉 川嶋 由莉
齋藤 かなこ 榊原 有那 指出 瑞貴 里内 伽奈 澤田 美紀 田中 真由 西村 美紗
根矢 涼香 羽瀬川 なぎ 廣瀬 詩映莉 藤谷 理子 星野 梨華 増澤 璃凜子 桃月 なしこ
<男子校版>足立 英 荒澤 守 荒田 至法 飯阪 翔 伊藤 凜 岩井 克之 宇野 拓
梅田 優作 遠藤 龍希 狩野 健斗 河合 拳士朗 河口 勇太朗 佐瀬 清隆 佐藤 雄大
田中 俊介(BOYS AND MEN)中嶋 海央 長畑 勝己 那須 一南 広田 亮平 松本 翔太郎 松谷 優輝

公演日程:
2019 年8 月17 日(土)~27 日(火)

会場:
紀伊國屋ホール

チケット料金:
S 席 6,000 円 A 席 4,000 円(全席指定・税込)

舞台『転校生』公式ツイッターアカウント
https://twitter.com/tenkosei2019/

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