小野寺修二ワークショップ in銀座九劇アカデミア「ただ、立つことから始めてみよう」レポート

カンパニーデラシネラ主宰・演出家の小野寺修二によるワークショップ「ただ、立つことから始めてみよう」が、8月18日(金)に「銀座九劇アカデミア」にて開催された。同ワークショップは、舞台上で存在することの基本であり、全てである「立つ」という動作から、身体について考えるというもの。女優の高畑敦子や倉科カナを含む24名が生徒として参加した。
まず、マイムのベースの考えとなる”身体を分解する”ことを紹介し、「腕を床について肘だけを動かす」などシンプルな動作から「どこを動かすとどこが動くか」を探り、自分の身体がどうなっているか見つめることからスタート。その後、「寝ている状態から立ち上がる」、「2人組で背中合わせに立つ」等、様々な動作を実践。普段気がついていない自身の身体の不自由さを発見した受講者たちからは、驚きの声があがった。
途中、「床に手を”置く”ことと床を”触る”ことの違いは何か?」と小野寺から質問が投げかけられた。外から見ると同じ動作に見えるが、時間の経過で考えると”置く”ことは動きがそこで終了する。一方、”触る”ことはそこから感情が始まる、動きが持続すると考えられる。受講者は、同じ動作でもその後の流れを考えて”置く”のか”触る”のかを意識することを学んだ。
小野寺は最後に、ダンスとマイムの違いに関して「ダンスは外に開放していく作業、マイムは内に入っていく作業」と語り、「喋らないことから何が生まれるか?『こういうことをやろう』ではなく、何か思わぬものが出てくる。その人自身のエネルギーで状況を変えられる。それが、台詞に縛られない強さ。身体ひとつで舞台に上がるわけなので、いかに人間力をあげていくか?そのために、まずは自分にはどのくらいのことができるのか、自分の身体を見つめ直すことから始めるのはどうだろう」とアドバイスをした。
「銀座九劇アカデミア」では、「プロフェッショナル」を育む場として、大手芸能事務所のレプロエンタテインメントが新設したワークショップスタジオ。今後も未来のアーティストやクリエイターの育成となるようなワークショップやイベントを多数開催していくとのこと。今年の12月には、ロバート・デ・ニーロら多くのハリウッドスターを輩出してきたニューヨークの演劇学校『ステラ・アドラー・スタジオ・オブ・アクティング』から主任講師を招聘、本場の演劇ワークショップを開催することが決定している。今後のワークショップの詳細や申し込み方法については、『銀座九劇アカデミア』のホームページをチェックしよう。

小野寺修二プロフィール


演出家。カンパニーデラシネラ主宰。
日本マイム研究所にてマイムを学ぶ。95年〜06年、パフォーマンスシアター水と油にて活動。その後文化庁新進芸術家海外留学制度研修員として1年間フランスに滞在。帰国後、カンパニーデラシネラを立ち上げイムの動きをベースに台詞を取り入れた独自の演出で世代を超えて注目を集めている。第18回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞受賞。
主な演出作品は『あの大鴉、さえも』『オフェリアと影の一座』『ロミオとジュリエット』(以上、2016年/東京芸術劇場他)、『変身』(2014年/静岡県舞台芸術センター)、『カラマーゾフの兄弟』(2012年/新国立劇場他)等。また、瀬戸内国際芸術祭にて、野外劇『人魚姫』を発表するなど、劇場内にとどまらないパフォーマンスにも積極的に取組んでいる。2015年度文化庁文化交流使。

<銀座九劇アカデミア>

https://asakusa-kokono.com/academia/
所在地:東京都中央区銀座1-28-15鈴木ビル2階&中3階

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